博士学生のサポートが新たに追加されたので応募しました

少し前に話題になった、今年度から博士課程学生に対する国のサポート事業が新たに増設されたという話。

ざっくり言うと、

じゃぱんぬ

経済的不安がすごい等の理由で博士課程に進学する人が減ってる!
このままだと日本の将来を担う高度な人材が減っちゃうよ~><
さすがにこれはまずいから、経済的支援増やして少しでも進学者増えるようにしなきゃ! ( ・`ω・´)

という経緯で作られた制度。
(国の資料を軽く読んだところ、制度の背景はとしてはこんな感じ)

学振と科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業

これまで、国が行う博士学生の金銭面のサポートとしては学振(日本学術振興会特別研究員、いわゆるDC1とかDC2って呼ばれてるやつ)がありました。

この内容としては、

8.研究奨励金

2022年度の支給予定額は以下のとおりです。なお、研究奨励金の額については変更することがありま

す。

(1) 特別研究員-DC1:月額200,000 円

(2) 特別研究員-DC2:月額200,000 円

9.研究費

特別研究員は、申請書記載の研究計画を行うための研究費として、科学研究費助成事業(特別研究員奨励

費)の助成を受けることが可能です。当該研究費の助成を受けるためには、別途、科学研究費助成事業(特

別研究員奨励費)に応募する必要があり、本会科学研究費委員会の審査を経て毎年度150 万円以内の研究費

が交付されます。

https://www.jsps.go.jp/j-pd/data/boshu/dc_yoko.pdf
  • 月額20万円が国から支給される(課税対象)
  • 150万以内の研究費が国から貰える

といった内容となっています。

一般的な四大卒の初任給くらいの額面はあると思われる学振。しかし、採用率は約20%と決して高くありません。

学振の採用率に関しては、以下の記事も参照ください。

では、今回創設された「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」(以下、フェローシップと記載)は学振と比較してどのような差異があるのでしょうか。補助内容や採択人数についてみてみたいと思います。

・補助上限額:

 フェローシップ:支給対象学生1人当たり200~250万円/年

 事務経費:1,200~5,500万円/年

https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fellowship/1419245_00002.htm

学振が20万/月貰えるのに対して、フェローシップは16.6~20.8万円/月

研究費についての記載がないのですが、200~250万/年に合算されているのでしょうか。
詳しいことはわかりませんが、仮にフェローシップの支給金額が研究費込であれば自身が給料として貰える金額は学振よりも少ないのではないかと考えられます。

採択人数はどの分野に申し込めるか(事前に教務などから「あなたの研究科なら〇〇に申し込めますよ~」という指示がある)によって異なります。採用人数は以下の資料のとおり(申請区分・支援予定人数)となっています。

ほぼ国立大でワロタ

このように、フェローシップは学振とは毛色が異なり、一部の大学でのみ実施されるミニ学振のようなものと理解していただければいいと思います。当然競争する人も同じ大学の人たちです。

採用率に関しては本年度から始まったためどれくらいになるかはわからないのですが、私が申し込んだ分野では、理学系・光学系・薬学系(3年博士課程のみ)、文学系(言語学や歴史学系)は対象外となっていました(別の分野で応募するよう割り当てられていた)。
なので、私の場合は4年制博士の人たち&ざっくりと理工系ではない人たちと20席の椅子をかけてバトルしているという状況となります。これを学振と比較して勝負しやすいととるか、厳しい戦いと取るかは人に依ると思いますが、戦わなければ得られるものは何もないので、やるしかありません。

実際にフェローシップに応募した

今回私の所属する研究科は、このフェローシップの対象となっていましたので実際に申請してみました。
(ちなみに学振とフェローシップを同時に受け取ることはできない決まりとなっています。両方当たったらどっちか辞退してねってコト。)

申請の流れは学振と大きく変わらず、

  • 研究計画書
  • 志望理由書
  • 申請書

この3つを提出し、その中身で採用者を決定していくようです。

それぞれの提出書類について詳しく見ていきます。

  • 研究計画書
    令和3年度までの学振のような計画書となっています(下図)。

これまでに学振申請書のフォーマットを見たことがある人であれば分かると思いますが、令和3年度の学振申請書と似ています。なので、昨年学振申請書を書いたことがある人であれば、この形式に対する不安はそこまで大きくないのではないかと思います。

  • 志望理由書
    以下の画像のようになっています。

私の所属している研究科は上記の採択機関一覧にある申請区分の「ボトムアップ型」に分類されていました。
大学としては、これらの分類に属する場合は近年話題の「SDGs(Sustainable Development Goals)」にどれだけ寄与できるかを重視するとのことで、申請研究がどれだけSDGsの達成に貢献できるか、将来的にどのようにSDGsに貢献していくかについて記載する物となっていました。書き方自体は申請書を書くのと同じように記載すれば良いと思われます。
志望理由書に関しては過去の学振の申請書に存在した「研究者を志望する動機、目指す研究者像、アピールポイント等」がこれに該当するのではないかと思います。方向性が異なるので、既存の申請書をそのままパクって書くのことはできませんが、SDGsにどれでだけ寄与できるかというアピールすべきポイントが明確になっているのでそこまで書くのに苦労はしないのではないか、という印象です。実際私は研究計画書を書くほうが比較するまでもなく重労働でした。

  • 申請書

ここは自身の氏名や所属等を記載する部分なので、とくに言及はしません。

気になる点といえば、研究計画書のフッター部分の指名記入欄は名前を入力しても下線が消えなかったのに対して、申請書は名前を記載する部分の下線がすべて手入力で「_」を入力することで作られていたことでしょうか。名前入力すると下線が消えたので「もしかしたら・・・」と思ったのですが、変なとこで予想が的中してなんとも言えない気持ちになりました。
学生のうちにOfficeはなるべく使いこなせるようにしておくに越したことはないですよ。

以上が提出する書類です。
基本的には申請の流れは学振と大差がないです。電子システムの番号が必要なくなるので寧ろ手続きは楽でした。
しかし、学振よりも期限が早かったため疲労度でいえばいい勝負だと思いました。なにせ私のもとに知らせが届いたのが3/17で、期日は3/31という常軌を逸したスケジューリングだったからです。
流石に教員の方々も

教員

「申請期日が3/31?なにかの間違いじゃなくて?」

というような反応でした。数多の申請書を書いてきた教員の方々がこの反応です。以下にトチ狂ったスケジュールかが分かるかと思います。
学振ですら申請書のフォーマットが公開されてから締め切りまで1ヶ月以上あります。これを考えると、いくら学内選考であるからと言って期日を無謀に設定していい理由にはならないと思いますが、今は過ぎたことなのでそこまで言及しないこととします。
(そもそも申請書のクオリティを下げられるようになる訳じゃないのだから、申請期間が短くていい理由なんてどこにもない。学振と同じかせめて少し短い程度にしてくれ、2週間はマジで狂気の沙汰。)

ただ、今年がこのような日程であったことを考えると来年もギリギリに公表されてギリギリ申請書を書く、といった流れになる可能性も否定できません。来年度申請を考えている方々は、時間的にキツイ戦いになる可能性があるということは頭の片隅に置いておくことも大事かと思います。

制度はどんどん利用すべき

以上がフェローシップ申請体験記です、いかがだったでしょうか。

私は昨年度の学振が不採択だったので今年度の学振も応募する予定だったのですが、こちらのフェローシップの締切がバグレベルの短かさだったため、先にフェローシップの申請書を片付けることとしました。
学振の方も申請する予定だったのですが、とある事情で急遽引っ越すこととなってしまい、そっちでドタバタしていて申請書は進んでいません(多分このままだと学振の方は申請書出せないのでフェローシップ採用されててほしい・・・)。
今後博士の舞台に足を踏み入れる方々は、学振の他にも選択肢があるということを覚えておくといいでしょう。返済が不要なので、全力で取り組むべきです。

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